皆様、こんにちは。
2014年も無事に終わり、2015年が始まったかと思えばあっという間に1ヶ月が過ぎようとしております。
当蔵も、8月16日から始まった芋焼酎の仕込みが、1月10日の蒸留をもって無事に全工程終了致しました。
今期も事故・怪我なく仕込みを終える事ができ、まずは一安心といったところです。
お力添えいただいた皆様には心より御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
さて、今期の仕込み中も、県内外より多くのお客様にお越しいただきました。
古くからお付き合いのある酒販店様、焼酎を専門に扱う(又は今後扱う事を予定している)飲食店様、焼酎大好きな一般のお客様、鹿児島に観光に来られた際に立ち寄られたお客様、若い人も年配の人も、男性も女性も、時にはご家族連れで、本当に様々なお客様にお立ち寄りいただき、ご縁をいただき、誠に有難い事だと蔵人一同感じております。
その中で今期を振り返ると、特に海外からのお客様にも多くお越しいただいた一年となりました。
スティーブン・ライマンさん 【アメリカ】
この方は、焼酎が大好きなアメリカ人です。
焼酎だけでなく、日本の郷土料理や、そこにいる人達や雰囲気も大好きで、地元アメリカでも焼酎の素晴らしさを多くの方に伝えて下さる一人です。
昨年から、当蔵とも仲良くしていただいている鹿児島県いちき串木野市にある大和桜酒造の若松徹幹さんの下でインターンシップをし、実際に焼酎造りを体験されております。
徹幹さんの計らいにより、当蔵でも仕込みの体験やラベル貼りなど、大粒の汗をかく作業から繊細な手作業までを体験していただきました。
大量生産、そして大量消費が基本のアメリカ人にとって、これほどまでに手間ひまをかけた『ものづくり』は、世界の中でも日本人にしか出来ない。素晴らしいものだ!
と、スティーブンさんは評価して下さいました。
実際に芋焼酎に使われるさつまいも(小金千貫 -こがねせんがん-)も自分の手で掘ってみたいとのことで、一緒に芋掘り体験もしました。
共に汗をかく事が、こんなにも気持ちが良く、言葉も国境も越えた感覚を芽生えさせてくれるのだと、改めて感じました。
最後は当蔵のレンガ蔵の前で。
紹介して下さった大和桜酒造さんも、当蔵同様すべての銘柄を 《手造り 甕仕込み》でされている数少ないお蔵元さんですが、蔵元同士でこういった情報の共有や、共に世界に焼酎の素晴らしさを伝えていける関係でいれる事は本当に嬉しく、また有難い事です。
ジェシカさん 【台湾】
アメリカ在住の彼女。
縁あって、日本の伝統工業に興味を持ち、共に焼酎造りをさせていただきました。
実は当蔵に来るまで、芋焼酎が飲めなかったジェシカさん。
蔵をあとにする頃には、「早く自分が携わった焼酎が飲みたい」と言っていました。
フレデリックさんご家族 【イギリス】
ご家族で来られる方は年間でも5組ほど。
今年はその内の1組がイギリス人のご家族でした。
実際に発酵途中の一次もろみに手を近づけると、発酵熱によってぬくもりを感じる事が出来る様子。
子供達も不思議そうにしていました。
見た目は「もろみ」という米麹の塊でも、その中には数億と言う微生物が生きていて、その微生物を我々がコントロールすることによってお酒が出来ていくという説明には、子供達も目をキラキラさせていて、こちらまで嬉しくなってしまいました。
国境を越えても、子供たちは宝です。
もちろん、お酒は成人を迎えなければ飲む事は出来ませんが、我々の「想い」や強い「こだわり」、仕事に向き合う姿勢は、年齢性別国籍問わず、伝わるものです。
それを、焼酎を通して感じれることは、とても幸せな事です。
昨今、焼酎は海外輸出によって世界で飲まれるケースも増えてきております。
非常に有難い事です。
しかし、当蔵のように小さく、輸出するほどの量を造れない蔵でも、こうして世界と繋がる事は出来ます。
そんな些細な出来事のいくつかが、2014年の仕込みには含まれております。そのエッセンスが、焼酎の味わいをより深めてくれるのだと思います。
今年も美味しく出来た焼酎が、皆様のよか晩(※)のお供になれば、幸いです。
※よか晩 : 鹿児島弁で「良い夜」という意味。お酒を飲み、互いに「よか晩なぁ~」と声を掛けあう事で、今日は良い日だね。楽しいね。幸せだね。と、同じ時間を共有できる幸せを噛み締め合うこと。